派遣で働くとき、パワハラ・セクハラの防止措置は派遣元だけでなく派遣先にも課されます(労働者派遣法47条の2・47条の4)。相談したことを理由にした解雇などの不利益取扱いは、雇用主である事業主に対して法律で禁じられています。苦情を派遣先に申し出たときは、派遣先が派遣元に通知して処理を図る定めです(同法40条1項)。寮の中の言動が職場に当たるかは、職務の延長かどうかで個別に判断される、というのが厚労省の案内です。我慢して辞める前に、いつ・どこで・何を言われたかを控えて、担当者に伝えてください。
人間関係は、応募の前に聞ける。個室寮という選び方もある
リゾートバイトダイブのコラムは、リゾートバイトは職場と寮がセットであることが一般的、と書いています。仕事で顔を合わせた人と、寮でも顔を合わせることがあります。だから人間関係の不安は、応募の前に担当者へ聞いておけるものを聞いておくのが先です。
リゾートバイトダイブのコラム(2026年4月27日更新)は、現場の雰囲気を担当者に聞くことを勧めています。質問の例として、今働いているスタッフの雰囲気、過去に人間関係で聞いたトラブルを挙げています。
リゾバ.comのコラムは、スタッフの年齢層や、直接雇用の人がどんな人かを聞くこと、現場の雰囲気を尋ねることを挙げています。人間関係に不安があるなら、まず個室寮から始めるのがよい、とも書いています。
ダイブのコラムも、仕事とプライベートを切り替えたい人には個室寮を選ぶ方法がある、と書いています。寮のタイプごとの確認項目は、寮のチェックリストに表にしました。相部屋で同室者について聞く項目は、相部屋の記事にあります。
人間関係の不安は、応募の前に担当者へ聞き、寮は個室かどうかで選びます。同室者の入れ替えや部屋の変更について、3社のよくある質問には記載を確認できませんでした。
相談先は、派遣元と派遣先の両方にある
派遣で働くとき、雇っているのは派遣元の会社で、日々の指示を出すのは派遣先の施設です。人間関係で困ったとき、相談先はどちらにもあります。
厚生労働省の「あかるい職場応援団」のパワハラに関するQ&Aは、派遣労働者については、派遣元事業主だけでなく、派遣先事業主も、自ら雇用する労働者と同様に措置を講ずる必要がある、と答えています。
条文では、労働者派遣法第47条の2と第47条の4が、これを定めています。2026年10月16日に条文を読んだ内容では、次のとおりです。
- 第47条の2: 派遣先は、派遣労働者の就業に関しては、派遣労働者を雇用する事業主とみなして、男女雇用機会均等法のセクハラに関する第11条第1項などを適用する
- 第47条の4: 同じく派遣先は事業主とみなされ、労働施策総合推進法のパワハラに関する第31条第1項などが適用される
どちらも、条文中の「雇用管理上」が「雇用管理上及び指揮命令上」に読み替えられています。派遣先は、指揮命令する立場として、防止の措置を取る側に入る、という整理です。
労働施策総合推進法第31条第1項(2026年10月16日に読んだ現行の条番号です)は、職場で行われる優越的な関係を背景とした言動で、業務上必要かつ相当な範囲を超えたものによって、労働者の就業環境が害されないよう、相談に応じ適切に対応するための体制の整備などの措置を、事業主に求めています。
では、実際の窓口はどこでしょうか。各社の案内で確かめたことを並べます。
| 会社 | 各社の案内で確かめられたこと |
|---|---|
| リゾバ.com | 同社のよくある質問では、スタッフに専任の担当がつく。担当者に言いにくいときは問い合わせフォームがある。勤務中のトラブルで職場の人に直接言いづらいときは、担当者に相談できる |
| ダイブ | 同社のよくある質問では、寮生活で分からないことは担当者に質問して解決するよう案内。辞めたいときは、まず担当者または公式LINEに相談する |
| リゾートバイト.com | 同社のよくある質問のページでは、人間関係やハラスメントの相談先の記載は確認できなかった。サポート窓口への問い合わせリンクはある |
アルファリゾートのよくある質問は、今日は確認していません。応募の前に、ハラスメントを含む困りごとの窓口を担当者へ確かめてください。
相談先は、紹介会社の担当者(派遣元)と、現場の責任者(派遣先)の両方です。言いやすいほうから伝えて構いません。
相談したことで、不利益に扱われない
相談することをためらう理由の一つは、告げ口になって居づらくなる不安です。条文は、この点に定めを置いています。
労働施策総合推進法第31条第2項は、事業主は、労働者が相談を行ったこと、または事業主による相談への対応に協力して事実を述べたことを理由に、その労働者に解雇その他不利益な取扱いをしてはならない、と定めています。セクハラについても、男女雇用機会均等法第11条第2項が同じ形で定めています。
厚労省のQ&Aも、相談したことなどを理由に不利益な取扱いをすることは、法律で禁止されている、と書いています。
ただし、条文の名宛人は「事業主」です。派遣労働者を雇用する事業主は派遣元です。派遣先に特例で適用される条項(第47条の2・第47条の4)の列挙には、2026年10月16日に読んだ範囲で、この第2項は入っていませんでした。派遣先に申し出たときの派遣先の取扱いまでを定めた条文は、確認できていません。
苦情を派遣先に直接申し出た場合の扱いも、条文にあります。労働者派遣法第40条第1項は、派遣先は、指揮命令の下に労働させる派遣労働者から派遣就業に関する苦情の申出を受けたときは、その内容を派遣元事業主に通知するとともに、派遣元との密接な連携の下に、誠意をもって、遅滞なく、適切かつ迅速な処理を図らなければならない、と定めています。
つまり、現場の責任者に伝えたことは、派遣元にも伝わる仕組みです。派遣元だけに伝えたいときは、先に担当者へ連絡します。
相談を理由にした解雇などの不利益取扱いは、雇用主である事業主に対して禁じられています。派遣先に申し出るときは、派遣元の担当者にも並べて伝えておくと安心です。
解雇そのものの予告や手続きは、無断欠勤・クビの記事にまとめました。
寮の中の言動は、職場に当たるのか
寮で起きたことは、仕事の外の話に思えます。ところが、ハラスメントの対象になる「職場」は、勤務時間中の勤務先だけではありません。
厚労省のQ&Aは、勤務時間外の懇親の場、社員寮や通勤中などであっても、実質上職務の延長と考えられるものは「職場」に該当する、と答えています。判断には、職務との関連性、参加者、参加や対応が強制的か任意かといったことを考慮して、個別に行う必要がある、とも書かれています。
書かれているのは、この考え方までです。リゾートバイトの寮での同室者どうしの言動が「職場」に当たるかどうかは、この案内からは決まりません。仕事の指示が寮に持ち込まれた、上司が寮の中でも指示や叱責を続ける、といった職務とのつながりの強さで判断が動く、と読むのが妥当です。
寮の中のことでも、職務の延長なら相談の対象になります。個別に判断されるので、まず伝えます。当たるかどうかを自分で決めて黙る必要はありません。
寮の「私生活の自由」と、条文では確かめられなかったこと
寮には、もう一つの条文があります。労働基準法第94条第1項は、使用者は、事業の附属寄宿舎に寄宿する労働者の私生活の自由を侵してはならない、と定めています。
その具体例が、事業附属寄宿舎規程第4条です。使用者がしてはならない行為として、次のものを挙げています。
- 外出または外泊について、使用者の承認を受けさせること
- 教育、娯楽その他の行事に参加を強制すること
- 共同の利益を害する場所と時間を除き、面会の自由を制限すること
労働基準法第95条は、寄宿舎規則の作成と届出を使用者に求めています。起床・就寝・外出・外泊、行事、食事、安全と衛生に関する規定の作成・変更には、寄宿する労働者の過半数代表の同意が要ります。第96条は、換気や採光など、健康と風紀と生命の保持に必要な措置を求めています。
ただし、ここから先は言い切れません。確かめられなかったことが二つあります。
- リゾートバイトの寮が「事業の附属寄宿舎」に当たるか。寄宿舎に当たるかどうかは、今日開いた条文と厚労省の案内からは判断できませんでした
- 寮を用意するのが派遣元か派遣先かによって、誰が「使用者」として義務を負うのか。労働者派遣法第44条の特例が派遣先を使用者とみなす労働基準法の条文を挙げていますが、2026年10月16日に読んだ範囲では、その中に第94条〜第96条は見当たりませんでした
そのため、「飲み会への参加を強制される」「外出に承認が要る」といった寮のルールが、この条文に当たるかは、条文だけでは決められません。当たるかどうかを知りたいときは、労働基準監督署か総合労働相談コーナーへ、事実を伝えて聞くのが確実です。
寮の決まりが窮屈なときは、条文に当たるかを自分で決めず、労働局の窓口で確かめます。
困ったときの動き方
人間関係の困りごとは、辞める前にできることがあります。順番を整理します。
- いつ、どこで、誰から、何を言われた(された)かを、日付つきで控える。メッセージが残っていれば画面を保存する
- 紹介会社の担当者に連絡する。ダイブのコラムは、現場の人間関係が深刻なときは早めに担当者へ伝えておくと、間に入ってもらいやすい、と書いている。現場の変更や期間の調整を相談できる、とも書かれている
- 担当者に言いにくいときは、各社の問い合わせフォームや公式LINEを使う
- それでも動かないとき、または派遣元・派遣先の対応に納得できないときは、総合労働相談コーナーに相談する。厚生労働省の案内では、いじめ・嫌がらせやパワハラを含む労働問題全般が対象で、都道府県労働局や労働基準監督署内などにあり、予約不要で無料
リゾバ.comのコラムは、無断で辞めるのは避け、まず担当者に相談するよう書いています。辞めるときの手順と、寮を出る期限は、辞めたいときの記事にまとめました。
初日に聞いておく相談先は、初日の記事の表にあります。応募の前の確認項目は、応募前のチェックリストです。
我慢して辞める前に、日付つきの記録と担当者への連絡が先です。記録があれば、派遣元にも派遣先にも労働局にも、同じ内容を説明できます。
この記事で参照した情報
- e-Gov法令検索:労働施策総合推進法(第31条) ↗最終確認:2026/10/16
- e-Gov法令検索:男女雇用機会均等法(第11条) ↗最終確認:2026/10/16
- e-Gov法令検索:労働者派遣法(第40条・第44条・第47条の2・第47条の4) ↗最終確認:2026/10/16
- e-Gov法令検索:労働基準法(第94条〜第96条) ↗最終確認:2026/10/16
- e-Gov法令検索:事業附属寄宿舎規程(第4条) ↗最終確認:2026/10/16
- 厚生労働省:総合労働相談コーナーのご案内 ↗最終確認:2026/10/16
- 厚生労働省 あかるい職場応援団:ハラスメント関係Q&A ↗最終確認:2026/10/16
- リゾートバイトダイブ コラム「リゾートバイトでの人間関係って実際どう?」 ↗最終確認:2026/10/16
- リゾートバイトダイブ 勤務中のよくある質問 ↗最終確認:2026/10/16
- リゾバ.com【人間関係が不安な人へ】リゾートバイトで馴染みやすい職場の選び方 ↗最終確認:2026/10/16
- リゾバ.com リゾートバイトでよくある質問 ↗最終確認:2026/10/16
- リゾートバイト.com よくある質問 ↗最終確認:2026/10/16
法令や各社の案内は改定されることがあります。労働条件は求人ごとに異なるため、実際の条件は応募先から示される書面と公式の案内でご確認ください。