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はじめ方

リゾートバイトで怪我をしたら労災。派遣会社への連絡と請求の流れ

リゾートバイトで怪我をしたときの労災を、条文と厚労省の資料で整理しました。派遣は派遣元の労災保険になること、請求書の証明をする人、死傷病報告は双方が出すこと、健康保険を使わない理由、会社が動かないときの相談先まで。

この記事のポイント

リゾートバイトでも、仕事中や通勤中の怪我・病気は労災保険の対象になります。派遣なら入っているのは派遣元の労災保険で、請求書の証明をするのも派遣元です。怪我をしたら、まず現場の上司と派遣会社の担当者に連絡し、病院では労災であることを伝えて健康保険証を出さないようにします。会社が動かないときは労働基準監督署に相談できます。給付の額や割合は改正で動くので、手続きの窓口で確かめてください。

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リゾートバイトでも、仕事中の怪我は労災の対象になる

アルバイトでも派遣でも、労働者であれば、原則として労災保険の対象です。

労災保険法の第3条は、労働者を使用する事業を適用事業とすると定めています。厚生労働省の「労災補償」のページも、労災保険の労働者を「職業の種類を問わず、事業に使用される者で、賃金を支払われる者」とし、アルバイトやパートタイマー等の雇用形態は関係ないと説明しています。

第7条は、保険給付を業務災害、複数業務要因災害、通勤災害、二次健康診断等給付に分けています。リゾートバイトで主に関わるのは、次の2つです。

種類 条文の言い方 リゾートバイトでの例
業務災害 労働者の業務上の負傷、疾病、障害または死亡 厨房の火傷、客室清掃での腰の負傷、配膳中の転倒
通勤災害 通勤による負傷、疾病、障害または死亡 住居と就業の場所の往復の途中での事故

条文は、通勤を「合理的な経路及び方法」で行う移動としています。経路を外れたり途中で中断したりすると、その間やその後は通勤災害にならない場合があります。

業務災害か通勤災害かは、本人の見立てだけで決まるものではありません。迷ったときは、窓口で確かめます。

「これは労災になるのか」と迷う場面は、リゾートバイトで起こりえます。たとえば休憩時間の事故、休日に寮の外でした怪我、寮の中での事故です。これらの扱いは、条文だけでは決まりません。一般論として示した公的な資料も、確認した範囲では見つかりませんでした。

労災になるかどうかを自分で決めず、怪我をしたらまず連絡し、判断は労働基準監督署に委ねます。

保険の種類を整理するときは、社会保険の記事も並べて読むと混ざりません。労災保険は、健康保険や厚生年金とは別の制度です。

派遣なら、入っているのは派遣元の労災保険

リゾートバイトは、紹介会社と雇用契約を結ぶ派遣形式が多くあります。この場合、労災保険の窓口はどちらでしょうか。

昭和61年に出された厚生労働省(当時は労働省)の通達(基発第383号)は、労災保険も雇用保険も、派遣元事業主の事業が適用事業とされると定めています。つまり、派遣先の旅館やホテルではなく、契約を結んだ紹介会社が労災保険の加入者です。

同じ通達には、業務遂行性の見方も書かれています。派遣労働者が派遣元の支配下にある場合と、派遣契約に基づいて派遣先の支配下にある場合は、一般に業務遂行性があるものとして取り扱うとされています。派遣先の旅館で働いている間の怪我が、派遣元の労災になるのは、この考え方によります。

ここで、条文の構造に1つ読みどころがあります。

派遣法の第44条は、派遣先の事業主にも、労働基準法の一部の条文を適用すると定めています。労働時間、休憩、休日、年少者の保護などが並ぶなか、療養補償や休業補償を定めた第75条以降の災害補償の条文は、派遣先に適用する条文に挙がっていません。

条文からは、補償の責任が雇用主である派遣元にあると読めます。

一方で派遣法の第45条は、労働安全衛生法の一部の規定について、派遣先も事業者として扱うと定めています。整理すると、現場の安全対策は派遣先、補償の窓口は派遣元、という分担です。

直接雇用で旅館に雇われているときは、雇用主である旅館が労災保険の加入者です。違いは直接雇用の記事にまとめています。

各社の案内も、公式サイトで確かめました。

会社 公式サイトの記述
アルファリゾート コラムで、労災保険は全てのスタッフを対象に加入していると案内。業務中の事故やケガには労災保険が適用されるとしている
リゾバ.com よくある質問で、勤務中や通勤中に病気やケガをした場合は労災保険が適用され、治療費や薬代などの補償を受けられると案内

どちらも同社の案内です。自分の契約でどちらの扱いになるかは、雇用契約書の雇用主の欄と、担当者への確認で決まります。

怪我をしたら、まず連絡する相手が2人いる

怪我をした直後は、動ける人が動きます。ただし、連絡の順番を知っているかどうかで、あとの手続きの楽さが変わります。

厚生労働省の派遣元向けのQ&Aは、派遣労働者が労災保険の給付を請求するとき、派遣元が怪我をした日・時間・場所、怪我をするに至った状況などを証明しなければならないと説明しています。

その証明のために、派遣先は怪我の状況を把握しておき、速やかに派遣元に通知することを労働者派遣契約に定めておく必要がある、とも書かれています。

本人から見ると、連絡する相手は次の2人です。

相手 伝えること 理由
現場の上司(派遣先) いつ、どこで、何をしていて怪我をしたか 派遣先が状況を把握し、派遣元へ通知するため
派遣会社の担当者(派遣元) 怪我の状況と、受診した病院 請求書の証明と、保険給付の手続きをするのは派遣元だから

寮の部屋から動けないときや、現場の上司に言いにくいときも、派遣会社の担当者には連絡できます。

怪我の状況は、日付・時刻・場所・動作の4点をメモに残しておきます。派遣元の証明書に書く内容と重なるからです。

連絡先は、勤務が始まる前に控えておきましょう。持ち物のリストは持ち物の記事で確認できます。

病院では「労災です」と伝え、健康保険証は使わない

受診するときに、健康保険の保険証を出していいかどうかが、実は迷いどころです。

健康保険法の第1条は、健康保険の目的を、業務災害以外の疾病、負傷、死亡、出産に関して保険給付を行うことと定めています。さらに第55条は、同じ疾病や負傷について労災保険法から給付を受けられる場合は、療養の給付などを行わないと定めています。

つまり、仕事中の怪我は、健康保険ではなく労災保険で診てもらう決まりです。

病院の窓口で伝えるのは、次の3点です。

  • 仕事中(または通勤中)の怪我であること
  • 勤務先(派遣の場合は派遣先の名前と、派遣元の名前)
  • いつ、どこで怪我をしたか

厚生労働省の「確かめよう労働条件」のQ&Aは、通勤中の怪我の例で、病院ではっきり申し出るよう案内しています。

労災の請求書は、厚生労働省のサイトに様式があります。請求書の事業主証明の欄は、派遣なら派遣元が書きます。前出の通達は、そのうえで、休業補償など療養の給付以外の最初の請求では、死傷病報告書の写しなど、派遣先が作った災害の発生状況に関する文書を添えさせるよう求めています。療養の給付だけを請求するときは、派遣先が、請求書の事業主が証明する事項に事実と違いがない旨を、請求書の余白か裏面に書く扱いです。

請求書の段取りは、本人よりも派遣元の担当者が整える手続きです。分からない欄は、担当者に聞けば足ります。

病院では、保険証を出す前に「労災です」と伝えます。窓口で保険証を出してしまったあとでも、切り替えの手続きができるかどうかは、病院と派遣会社に聞いてください。

会社が動かないときは、労働基準監督署に相談する

怪我をしたのに、「労災にすると面倒になる」「自分の保険証で行って」と言われることがあります。厚生労働省のFAQは、「労災かくし」を、労働者死傷病報告を故意に提出しないこと、または虚偽の内容を記載して提出することと説明しています。

死傷病報告は、労働安全衛生規則の第97条が、労働者が労働災害等で死亡または休業したときに、事業者が労働基準監督署へ提出するよう定めている書類です。

派遣の場合は、栃木労働局の案内にあるとおり、派遣元と派遣先の双方に提出の義務があります。派遣先は、提出したら写しを派遣元に送ることになっています。

つまり、派遣先の旅館が黙っていても、派遣元には別に報告の義務がある、という構造です。

会社が請求に協力してくれないとき、どうすればよいか。厚生労働省の「確かめよう労働条件」のQ&Aは、通勤中の怪我を例に、会社から労災請求の協力が得られないときは労働基準監督署に相談するよう案内しています。

会社と争うことを勧めているのではありません。ただ、相談できる窓口があることは知っておいてください。

怪我のあとに契約が続けられなくなることもあります。労働基準法の第19条は、労働者が業務上負傷し、療養のために休業する期間とその後の一定期間は、解雇してはならないと定めています。打切補償を支払う場合など、例外もあります。契約の期間が満了して終わる場合の扱いは、ここでは判断しません。辞めたいときの一般的な流れは途中で辞めたいときの記事に書きました。

応募の前に聞いておくこと

労災の手続きは、怪我をしてから調べると遅れます。応募の前に、次を担当者へ聞いておきます。

  • 雇用契約を結ぶのは、紹介会社か、旅館・ホテルか
  • 怪我をしたとき、最初に連絡する相手と連絡先
  • 寮の中や寮から勤務先までの移動で事故があったときの扱い
  • 休業が長引いたときに、契約や寮がどうなるか

給付の額や割合、受け取れる期間は、改正で動きます。ここには書きません。額を知りたいときは、請求の窓口になる派遣元か、労働基準監督署で確かめてください。

聞く項目は、応募前の確認をまとめた応募前の注意点の記事や、寮の確認の記事(寮の記事)と並べて準備できます。

怪我をしたら誰に連絡するかを、契約を結ぶ前に聞いておきます。答えが曖昧な会社は、そこで見分けられます。

この記事で参照した情報

法令や各社の案内は改定されることがあります。労働条件は求人ごとに異なるため、実際の条件は応募先から示される書面と公式の案内でご確認ください。

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