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はじめ方

リゾートバイトの健康診断。派遣元と派遣先、どちらが受けさせるか

リゾートバイトの健康診断は、派遣なら派遣元が事業者として行う、と条文から読めます。雇入時の健診の対象と省略できる場合、費用と受診時間の賃金、断れるのか、各社の案内を、条文と厚労省の資料で整理しました。

この記事のポイント

派遣で働くなら、雇入時や定期の一般健康診断は派遣元が事業者として行う、と労働者派遣法45条から読めます。派遣先に事業者の責任を足す列挙には、一般健診の根拠である安衛法66条1項が入っていません。費用は事業者の負担、と厚労省は説明します。受診の時間の賃金は、一般健診では労使で決めるものです。短期の契約で対象になるかは、契約期間と週の所定労働時間で見るので、派遣元に確かめます。

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健康診断は事業者の義務。労働者にも受ける義務がある

リゾートバイトで気になるのは、健康診断を受けるのか、誰が受けさせるのか、費用はどうなるのか、の3つでしょう。

短期で動く働き方なので、アルバイト一般の解説では答えが出ません。

この記事は、制度の一般論が中心です。個別の求人の条件は、応募先で確かめてください。

まず、2026年10月21日にe-Govで読んだ条文から始めます。労働安全衛生法第66条第1項は、事業者は労働者に対し、厚生労働省令で定めるところにより、医師による健康診断を行わなければならない、と定めています。第5項は、労働者はこの健康診断を受けなければならない、と続きます。

事業者だけでなく、労働者にも受ける義務がある形です。ただし第5項には、ただし書があります。これは後の節で扱います。

一般健康診断の種類は、労働安全衛生規則と厚労省の資料に並んでいます。

種類 対象 時期
雇入時(安衛則43条) 常時使用する労働者 雇い入れるとき
定期(同44条) 常時使用する労働者 1年以内ごとに1回
特定業務従事者(同45条) 深夜業を含む業務などに常時従事する労働者 配置替えのとき、その後6か月以内ごとに1回
給食従業員の検便(同47条) 事業に附属する食堂・炊事場の給食業務の労働者 雇入れ・配置替えのとき

雇入時の項目は、既往歴・業務歴の調査、自覚症状などの検査、身長・体重・視力・聴力、胸部エックス線、血圧、血液検査、尿検査、心電図など、安衛則43条に並んでいます。検査の中身よりも、誰が、いつ、どの契約で受けさせるのかが、リゾートバイトでは先に問題になります。

派遣では、一般健診は派遣元の責任と読める

派遣で働くと、雇用契約を結ぶ相手は派遣元で、働く場所は派遣先です。健康診断の義務をどちらが負うのかは、労働者派遣法第45条に書かれています。

第45条第1項は、派遣先の事業を行う者も、派遣中の労働者を使う事業者とみなして、安衛法の一部の規定を適用する、と定めています。この列挙には、事後措置を定める第66条の5第1項が入っています。一方、一般健診の根拠である第66条第1項は、入っていません。

第3項は、派遣先を事業者とみなす別の列挙です。こちらには、第66条第2項(有害な業務の労働者への特別の項目の健診)、第3項(歯科医師による健診)、第4項、そして第66条の3、第66条の4が入っています。ただし第66条の3と第66条の4は、特殊健診などに係る部分に限る、という括弧書きが付いています。

ここから読めるのは、次の分担です。

  • 雇入時や定期の一般健診(66条1項)は、派遣先を事業者とみなす列挙に入っていない。労働契約の相手である派遣元が、事業者として行う
  • 有害な業務に就く労働者への特殊健診(66条2項・3項)は、派遣先が事業者とみなされて行う

これは、条文の列挙を私が読み取った整理です。厚労省の解説資料で同じ表現を確かめることは、今日はできていません。

第45条第10項も参考になります。派遣先が特殊健診などを行ったときや、特殊健診に代えて労働者が別の医師で受けた結果の書面が出されたときは、結果を書面にして派遣元の事業者へ送る、と定めています。派遣元と派遣先のあいだで、結果が受け渡される前提です。

リゾートバイトの職種の多くは、特殊健診の対象になる業務ではありません。

ふつうに受ける健診は、派遣元の窓口で決まると考えて、まず派遣元に聞くのが近道です。

直接雇用(職業紹介)で働く場合は、勤務先が雇用主なので、その施設が事業者です。雇用主の違いは直接雇用の記事にあります。

短期でも対象か。「常時使用する」の見方

雇入時と定期の健診の対象は、「常時使用する労働者」です。この言葉は規則の用語で、短時間労働者の扱いは厚労省の資料の解釈です。短期のリゾートバイトが、これに当たるのかは気になるところです。

厚労省の労働法の基礎講座(第33回)は、短時間労働者が「常時使用する労働者」に含まれる要件を、2つ並べています。

1つ目は、期間の定めのない契約であること。有期の契約でも、一定の期間以上使われている、または使われる予定のある労働者は含まれる、と注記しています。

2つ目は、1週間の労働時間数が、通常の労働者の週所定労働時間数に対して一定の割合以上であること。

この記事は、期間と割合の具体的な数字を書きません。このサイトでは制度の数字を書かず、元の資料を示す方針です。数字は、同資料の注記(※1)で、最新のものを確かめてください。

この2つの見方から言えるのは、契約期間の長さと、週の所定労働時間の長さが、対象かどうかを分けるということです。数週間の契約と、延長を重ねて長くなる契約では、扱いが変わる可能性があります。延長は延長の記事に書きました。

ここで、義務の対象かどうかと、会社が独自に実施するかどうかは、別の話です。対象外の人に、会社が健診を行うことはあり得ます。自分の契約が対象になるのかは、派遣元に「雇入時や定期の健診の対象になりますか」と聞いて確かめます。

省略できる場合と、自分で別の医師に受ける場合

雇入時の健診には、省略できる場合があります。安衛則第43条のただし書は、医師による健康診断を受けた後、3か月を経過しない者を雇い入れる場合に、その者が結果を証明する書面を提出したときは、相当する項目は行わなくてよい、と定めています。厚労省の労働法の基礎講座も、雇入れ前3か月以内の結果を提出すれば省略できる、と書いています。

リゾートバイトは、勤務先を変えながら続ける人が多い働き方です。直前に別の勤務先で健診を受けていたなら、その結果の書面が使えるかどうかを、派遣元に聞く価値があります。直近の健診の結果は、手元に残しておきます。

もう1つは、労働安全衛生法第66条第5項のただし書です。事業者の指定した医師による健診を希望しない場合に、他の医師の行う、相当する健康診断を受けて、その結果を証明する書面を事業者に提出したときは、受診の義務が果たされたことになります。

指定された病院が遠い、日程が合わない、というときの選択肢です。ただし、書面を出す先は事業者、つまり派遣なら派遣元です。自己判断で別の病院を受診する前に、派遣元に手順を聞いてください。

費用と、受診している間の賃金

費用について、厚労省のよくある質問は、労働安全衛生法が事業者に健康診断の実施を義務づけている以上、当然に事業者が負担すべきもの、と答えています。派遣なら、一般健診の事業者は前の節のとおり派遣元です。

受診している間の賃金は、別の答えです。同じ厚労省の質問では、一般健康診断は業務遂行との直接の関連で行われるものではないため、受診のための時間の賃金は労使で協議して定めるもの、と説明しています。そのうえで、円滑な受診のために、受診に要した時間の賃金を事業者が支払うことが望ましい、としています。

一方、特殊健康診断は、業務の遂行に当然に伴うものなので、受診に要した時間は労働時間になり、賃金の支払いが必要、とされています。

整理すると、次のとおりです。

項目 厚労省の説明
一般健診の費用 事業者が負担すべきもの
一般健診を受ける時間の賃金 労使で協議。事業者が支払うことが望ましい
特殊健診を受ける時間 労働時間。賃金の支払いが必要

受診日を休みにするか、勤務の中で受けるかは、派遣元か職場に事前に聞きます。休みの取り方は、休み希望の記事の考え方が使えます。受診の交通費の扱いは、今日確かめた資料に書かれていないので、ここでは触れません。

各社の案内で確かめられたこと

リゾートバイトの紹介サービス4社について、2026年10月21日に公式ページを開いて、健康診断の記述を探しました。

会社 確かめられたこと
リゾバ.com(ヒューマニック) 福利厚生のページに、1年以上の就業予定があり、法定の要件を満たした人に、原則として定期健康診断を受けてもらう、と記載。よくある質問の福利厚生の項では、有給休暇や定期健康診断などを利用できる、と案内
リゾートバイトダイブ 労働者派遣法に基づく情報公開のPDFで、マージンに含まれるものとして、福利厚生費(有給休暇、健康診断等)を挙げている。よくある質問のページに出ている見出しの範囲では、健康診断の項目は見当たらない(全質問の本文までは確かめていない)
リゾートバイト.com よくある質問の見出し28件に、健康診断を扱う項目は見当たらない
アルファリゾート よくある質問の見出し75件に、健康診断を扱う項目は見当たらない

同社の案内でいえるのは、リゾバ.comが、定期健診の対象を、就業予定の期間で絞っていることです。条文の「常時使用する労働者」の見方と合う書き方ですが、短い契約で定期健診を受ける機会は、少ない可能性があります。

ほかの3社については、確認できなかった、というのが正確です。

雇入時の健診を誰がどう行うのか、診断書を出す必要があるのか、受診する病院はどう決まるのかは、公式ページに書かれていませんでした。

これらは、求人や派遣元ごとに違う可能性があるので、応募のときに担当者に聞いてください。応募前の確認項目は、応募前のチェックリストにまとめています。

ダイブのPDFにある「福利厚生費」は、マージンの内訳の説明です。派遣元が健診の費用を負担する立場にあることと、整合します。マージン率の見方は、先にあげた直接雇用の記事にあります。

受けたあとと、困ったとき

健診を受けたあとは、事業者に続く義務があります。厚労省のリーフレットは、結果の記録(安衛法66条の3)、異常の所見がある労働者についての医師の意見聴取(66条の4)、その意見を勘案した事後措置(66条の5)、結果の労働者への通知(66条の6)を挙げています。

事後措置は、必要があると認めるときに、就業場所の変更、作業の転換、労働時間の短縮などを講じる、というものです。派遣では、第66条の5第1項の事後措置が派遣先にも適用されます。派遣法第45条第14項は、派遣先が特殊健診の結果について医師の意見を聴いたときは、その意見を派遣元へ通知する、と定めています。

結果の通知は、労働者に届くのが、条文上の建前です。届かないときは、派遣元の担当者に聞きます。

面接や応募の段階で、健康診断書の提出を求められたときは、雇入時の健診とは別の話です。この記事の出典では確かめていないので、面接の記事を見てください。

厚労省のリーフレットは、事業者向けの内容として、健診についての問い合わせ先に、最寄りの都道府県労働局または労働基準監督署を挙げています。労働者向けの相談窓口の案内ではない点に注意してください。深夜に働く場合の割増や時間の決まりはナイトフロントの記事、保険の加入条件は社会保険の記事にまとめました。

健診について聞くときは「雇入時と定期の対象か」「受診日の扱い」「別の病院でも可か」の3つを、派遣元に確かめます。この3つが分かれば、赴任後に慌てずに済みます。

この記事で参照した情報

法令や各社の案内は改定されることがあります。労働条件は求人ごとに異なるため、実際の条件は応募先から示される書面と公式の案内でご確認ください。

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