年齢の上限を決めているのは法令ではなく、紹介会社の条件と個々の求人です。50代・60代で変わるのは、むしろお金の側です。65歳以上は雇用保険の区分が変わり、年金を受けている人が厚生年金に入る契約で働くと、年金が止まる場合があります。額は改正で動くので、応募の前に担当者へ加入の有無を聞き、年金の調整は年金事務所で確かめてください。
年齢の上限を決めているのは、法令ではなく各社の条件
50代以上で気になるのは、まず「その年で応募を断られないか」でしょう。確認した条文に、働ける年齢の上限を決めたものは見当たりませんでした。断られるかどうかは、会社と求人ごとの条件しだいです。
この記事は、読む場所を状況で選べます。
年金をまだ受けていない人は、最初の2つの節と、雇用保険の節。年金を受けている人、これから受ける人は、年金の節も。75歳以上の人は、年齢の表を。
むしろ法令は、求人側に年齢で線を引かせない向きで書かれています。労働施策総合推進法の第9条は、事業主は労働者の募集と採用について、厚生労働省令で定めるときは、年齢にかかわりなく均等な機会を与えなければならないと定めています。
高年齢者雇用安定法の第20条は、やむを得ない理由で一定の年齢(65歳以下のものに限る)を下回ることを条件にするとき、求職者にその理由を示すよう求めています。たとえば60歳以下のように、65歳以下の年齢を上限にする募集では、その理由を示す決まりです。
紹介会社の案内も、公式サイトで確かめました。
| 会社 | 公式サイトの記述 |
|---|---|
| リゾバ.com | よくある質問で、18歳以上(高校生不可)であれば年齢制限はなく、50代以上の応募も増えていると案内 |
| アルファリゾート | よくある質問で、18歳以上から登録できる(高校生不可)と案内。検索条件に「シニア(50代・60代)歓迎」がある |
| リゾートバイト.com | 検索条件に「40歳以上歓迎」「50・60代応募可」がある |
| リゾートバイトダイブ | シニア向けのコラムで、18歳から60歳代まで幅広い年齢の人が活躍していると案内 |
下限を案内している会社はありますが、上限を数字で定めた記述は、4社の公式サイトでは見当たりませんでした。ただし、案内が「応募できる」でも、個々の求人まで年齢の条件がないとは限りません。
最後は、気になる求人ごとに担当者へ聞くことになります。聞くときの項目は面接の記事にまとめた、電話で聞かれる内容と並べて準備できます。
「歓迎」「応募可」の表示は、仕事の中身を見て読む
アルファリゾートとリゾートバイト.comの検索条件には、年齢のタグがあり、年代を指定して求人を探せます。タグを付ける基準は、公式のページでは確認できませんでした。
タグが教えるのは年代の目安だけで、仕事の中身ではありません。仕事の中身は別に見ます。
ダイブのコラムは、シニア世代に向く仕事として、仲居、レストランサービス、フロント、調理補助、清掃を挙げています。同社のコラムでは、寮や食事は勤務先から提供される、完全個室の寮もあるとも書かれています。
職種名だけでは1日の動きが分かりません。同じ「調理補助」でも、朝と夜に分かれる中抜けのシフトか、通しの勤務かで体への負担は変わります。
体力や持病の不安に答える公式の案内は、確認した範囲では見つかりませんでした。だから、求人ごとに自分で聞きます。
- 1日の立ち時間と、運ぶ物の重さ
- 休憩の取り方と、早朝・夜の勤務の有無
- 通院の日に休めるか。薬を持ち込んでよいか
- 寮の階段、浴室の形(個室か共用か)、近くの病院
- 同じ職場で働いている人の年代
応募の前に、これらを数字と言葉で聞いておきます。
年齢によって変わるお金の扱いを、年代別に並べる
50代・60代と一口に言っても、制度が見る年齢は一つではありません。リゾートバイトの契約にかかわる年齢の区切りを、年代ごとに並べます。
| あなたの年代 | 変わること | 条文 |
|---|---|---|
| 65歳以上 | 雇用保険に入っていた人は(一部の区分を除き)「高年齢被保険者」の扱いになり、失業したときは高年齢求職者給付金の仕組みになる | 雇用保険法 第37条の2 |
| 70歳未満 | 厚生年金の適用事業所で働くと、年金を受けていても厚生年金の被保険者になる | 厚生年金保険法 第9条 |
| 70歳以上 | 勤め先が厚生年金の適用事業所なら、年金の調整(在職による支給停止)は続く | 日本年金機構のリーフレット |
| 75歳以上 | 住所のある地域の後期高齢者医療の被保険者になる | 高齢者医療確保法 第50条 |
高年齢者雇用安定法の第9条(65歳までの雇用確保)と第10条の2(70歳までの就業確保の努力義務)は、事業主が自分の会社の高年齢者に講じる措置の話で、リゾートバイトの応募先を決める話ではありません。今の職場で定年後の働き方を決めるときに、勤め先へ確かめる材料になります。
自分の年代の行が何を変えるかを、先に決めておきます。次の2つの節で、雇用保険と厚生年金を順に見ます。75歳未満の人は、75歳の行を読み飛ばして構いません。
65歳以上は、雇用保険の区分が変わる
雇用保険に入る条件そのものは、年齢で変わりません。雇用保険法の第6条は、適用しない人として、1週間の所定労働時間が20時間未満の人や、同じ事業主に継続して31日以上雇用される見込みがない人などを挙げています。
条文は、季節的に雇用される人で一定の要件に当たるものも、適用しない人に含めています。
リゾートバイトの契約が自分に当てはまるかは、年齢では決まりません。担当者に「この求人で雇用保険に入るか」を聞くのが確実です。
加入の要件の考え方は社会保険の記事に書きました。
65歳になると、区分が変わります。第37条の2は、65歳以上の被保険者を高年齢被保険者とし、その人が失業した場合には高年齢求職者給付金を支給すると定めています。厚生労働省のリーフレットによれば、この給付金は、被保険者であった期間に応じた日数分の基本手当に相当する額が支給される仕組みです。
ただし、65歳以上でも、季節的に雇用される人の一部は、条文上は高年齢被保険者から除かれ、短期雇用特例被保険者という別の区分になります(第37条の2第1項の括弧書き)。給付も別の仕組みです。自分がどちらに当たるかは、ハローワークで確かめます。
厚生労働省のリーフレットは、この給付金の要件を2つ挙げています。
- 離職の日以前1年間に、被保険者期間が通算して6か月以上あること
- 失業の状態にあること(リーフレットの説明では、就職したい意思とすぐ働ける能力があり、求職活動をしているのに就職できない状態)
1回の契約が数か月のリゾートバイトでは、前半の要件が気になります。リーフレットは「通算して」と書き、1か月の数え方にも条件を付けています。
賃金の支払いの基礎になった日数が11日以上ある月を、1か月と数える決まりです。自分の勤務がどう数えられるかは、ハローワークで確かめます。
同じリーフレットは、次のような人を原則として支給を受けられない例に挙げています。
- 次の就職が決まっている人
- 就職・就労中の人(試用期間を含む)
- パート、アルバイト中の人。ただし週の労働時間が20時間未満なら、支給を受けられる場合がある
契約の終わりに次の勤務先が決まっているなら、その間は対象にならない例です。
手続きは、自分でハローワークへ行って求職の申し込みをします。持ち物は離職票、マイナンバーカードなどで、同リーフレットに一覧があります。離職票の発行を頼む流れは、途中で辞めたいときの記事にも書きました。65歳未満の基本手当と、受給中に働くときの申告は失業保険の記事にあります。
受給には、離職の翌日から1年の期限があります。契約が終わったら、離職票が届く前から、ハローワークでの手続きの段取りを聞いておきます。
年金を受けながら働くと、年金が調整される場合がある
年金をもらい始めた人が、リゾートバイトで勤務先の厚生年金に入る場合は、金額の話になります。
厚生年金保険法の第9条は、適用事業所に使われる70歳未満の人を被保険者とするので、年金を受けていても、条件を満たせば加入するのが原則です。日本年金機構のリーフレットも、70歳未満で適用事業所に勤める人は年金を受けていても厚生年金に加入しなければならず、一定の要件に満たない短時間労働者などは加入の対象から除かれると書いています。
厚生年金に入ると、第46条が働きます。日常の言葉で言うと、次のとおりです。
- 毎月の賃金と、1年分の賞与を12で割った額を足す
- それに、老齢厚生年金の月額を足す
- その合計が、ある基準額を超えると、超えた分の半分に当たる額が、年金から止まる
- 止まる額が年金の額以上なら、老齢厚生年金は全部止まる
条文の言葉では、1つ目の額が「総報酬月額相当額」、年金の月額が「基本月額」、基準額が「支給停止調整額」です。厚生年金に入る契約になるかは、まず紹介会社の担当者に聞きます。
同機構のリーフレットによると、止まるのは老齢厚生年金で、老齢基礎年金は止まりません。また、70歳以降も厚生年金の適用事業所に勤める人は、加入中の人と同じように、在職による支給停止が行われます。
その線の金額は、ここには書きません。条文の第46条第3項は、金額を年度ごとの物価変動率で改定する仕組みも定めています。同機構のリーフレットも、令和8年4月から基準額が引き上げられたと説明しています。
線を決める額は動くので、年金の調整は、契約の期間と見込みの賃金を持って年金事務所で試算してもらいます。年金事務所は、リーフレットの末尾にも案内がある窓口です。
60歳から65歳未満の人には、もう1つあります。雇用保険の高年齢雇用継続給付を受けると、同機構のリーフレットによれば、年金の一部がさらに止まります。対象かどうかは、ハローワークで確かめてください。
75歳以上の人は、先の表のとおり、条文上は後期高齢者医療の被保険者になります。勤務先の健康保険との関係は、条文だけでは読み切れないので、住んでいる地域の窓口か年金事務所に聞いてください。
応募の前に、相手ごとに聞くことを分けておく
シニアの応募で後から困りやすいのは、体の負担より、お金の扱いが契約と噛み合わないことです。相手ごとに、聞くことを分けます。
| 相手 | 聞くこと・伝えること |
|---|---|
| 紹介会社の担当者 | 求人に年齢の条件があるか。契約の期間と更新の見込み。その求人で厚生年金・雇用保険に加入するか。勤務時間の形と寮の部屋 |
| 年金事務所 | 年金を受けている場合、加入すると年金がどう調整されるか。契約の期間と見込みの賃金を伝えて試算を頼む |
| ハローワーク | 契約が終わったあとの高年齢求職者給付金。離職票が届いたら、持ち物の確認 |
担当者への確認は、口頭で終えず、労働条件の書面まで。
社会保険の手続きをするのは、契約を結んだ会社です。派遣なら派遣元(紹介会社)、直接雇用なら旅館・ホテル自身。寮で会う現場の上司に聞いても、分からないことがあります。
応募前に家族と話しておきたいことは、応募前の注意点の記事にまとめています。
年金と保険の扱いは、契約を決める前に、紙で確かめておきます。契約が始まってからでは、変えにくいからです。
この記事で参照した情報
- e-Gov法令検索:労働施策総合推進法(第9条) ↗最終確認:2026/10/07
- e-Gov法令検索:高年齢者等の雇用の安定等に関する法律(第9条・第10条の2・第20条) ↗最終確認:2026/10/07
- e-Gov法令検索:雇用保険法(第6条・第37条の2) ↗最終確認:2026/10/07
- e-Gov法令検索:厚生年金保険法(第9条・第46条) ↗最終確認:2026/10/07
- e-Gov法令検索:高齢者の医療の確保に関する法律(第50条) ↗最終確認:2026/10/07
- 厚生労働省:離職されたみなさまへ<高年齢求職者給付金のご案内>(PDF) ↗最終確認:2026/10/07
- 日本年金機構:在職老齢年金の支給停止の仕組み(リーフレットPDF) ↗最終確認:2026/10/07
- リゾバ.com リゾートバイトでよくある質問 ↗最終確認:2026/10/07
- アルファリゾート よくある質問 ↗最終確認:2026/10/07
- リゾートバイト.com よくある質問 ↗最終確認:2026/10/07
- リゾートバイトダイブ:シニア世代のリゾートバイト(コラム) ↗最終確認:2026/10/07
法令や各社の案内は改定されることがあります。労働条件は求人ごとに異なるため、実際の条件は応募先から示される書面と公式の案内でご確認ください。