マイナンバーは、雇用保険の届出に事業主が書くことを、厚生労働省が義務としています。社会保険や源泉徴収でも、番号法が事業主による番号の利用と提供の要求を認めているため、出すよう求められます。マイナンバーカードは必須ではなく、通知カードや番号入りの住民票の写しでも確認できると、リゾートバイト.comやダイブなどは案内しています。出すのを拒んだ場合、雇用保険の届出は受理されると、ハローワークの事業主向け資料にあります。年金番号は基礎年金番号通知書か年金手帳で確認します。求人ごとの提出書類は、応募先で確かめてください。
先に答え。書類を出す相手と、この記事の範囲
働き始めるときに出す書類で、最も多くの人が引っかかるのはマイナンバーです。結論を先に書くと、マイナンバーカードを持っていなくても、番号の確認は別の方法でできます。ただし番号そのものは、雇用に伴う届出に要るため、出すよう求められます。
ここに書くのは、法令と公的機関の資料で言える一般論です。個別の求人でどの書類を、いつ、どの方法で出すかは、応募先の案内で決まります。確かめたのは、番号法・雇用保険法・健康保険法・厚生年金保険法・労働基準法施行規則・所得税法の条文、厚生労働省のハローワーク向け資料、日本年金機構と国税庁のページ、各社の公式ページです。
- マイナンバーは、雇用保険などの届出に事業主が書く。だから求められる
- 番号の確認には、カードのほかに通知カードや番号入りの住民票の写しが使われる
- 年金は、基礎年金番号を伝える。分からなければマイナンバーで手続きできる
書類を受け取るのは、雇っている会社
雇用保険法第7条は、事業主が、その雇用する労働者について、被保険者になったことなどを厚生労働大臣に届け出なければならない、と定めています。健康保険法第48条と厚生年金保険法第27条にも、適用事業所の事業主が、被保険者の資格の取得や喪失を届け出る、という規定があります。
届け出るのは労働者本人ではなく、事業主です。書類を求めてくるのは、届出をする側の雇用主だ、と読めます。
雇用主が誰かは、派遣か直接雇用かで変わります。派遣なら、雇っているのも届出をするのも派遣会社です。
リゾバ.comの必要書類のコラムも、派遣会社と雇用契約を結ぶ形で説明しています。提出先は求人ごとに違うので、応募先の案内で確かめてください(直接雇用と派遣の違い)。
各社の案内。提出の方法は会社ごとに違う
公式ページで確認できたことを、会社ごとに並べた表です。
| 会社 | 同社の案内 |
|---|---|
| リゾバ.com | 必要書類は、本人確認書類・銀行口座・マイナンバーの3つ。本人確認書類は仕事探しの前、銀行口座とマイナンバーは仕事が決まったあとに出す。スマートフォンでオンライン登録する。マイナンバーカードは必須ではない、とある |
| リゾートバイト.com | 同社のコラムでは、マイナンバーの提出は基本的に必要で、勤務期間が短くても求められるのが一般的、とある。確認は、カードがあればその表裏、なければ通知カードや番号入りの住民票の写しと身分証の組み合わせ |
| ダイブ | よくある質問で、マイナンバーの提出は必須としている。メールに、カードの裏面・通知カード・番号入りの住民票の写し・住民票記載事項証明書のうち1点の画像を添付して送る |
| アルファリゾート | よくある質問の見出しに、入職時の提出書類の項目は見当たらなかった |
同じマイナンバーでも、出し方は会社ごとに違います。リゾバ.comはメールのURLから写真をアップロードする、ダイブはメールに画像を添付する、という案内です。どの方法で出すかは、決まった会社の連絡に従う形です。
これらは各社の案内であって、リゾートバイト全体の決まりではありません。会社と求人で違うため、応募先の担当者に確認してください。
マイナンバーは、なぜ求められ、どう確かめられるか
番号法第9条第4項は、健康保険法・厚生年金保険法・雇用保険法・所得税法の規定により、他人の個人番号を記載した書面を提出する事務を行う者は、その事務に必要な限度で個人番号を利用できる、と定めています。同法第14条第1項は、個人番号利用事務等実施者が、本人に個人番号の提供を求めることができる、と定めています。
つまり事業主は、雇用保険や社会保険、源泉徴収の手続きのために、番号を求めることができる立場です。給与の税務手続きに使うという各社の説明とも、この条文は合っています。雇用保険の届出については、次の節のとおり、厚生労働省の資料が記載を事業主の義務としています。
求める側には、確認の義務もあります。同法第16条は、本人から個人番号の提供を受けるときは、個人番号カードの提示を受けるか、政令で定める措置をとらなければならない、と定めています。
国税庁のFAQでは、確認は「番号確認」と「身元確認」の2つで、通常はマイナンバーカード、通知カード、番号入りの住民票の写しのいずれかを使う、と説明されています。
ただし通知カードは廃止されていて、記載内容が住民票の写しと一致する場合に限り、番号確認の書類として使える、とあります。
カードがなければ、番号確認の書類と身元確認の書類を組み合わせることになります。さらに、いずれの書類も出せない人について、国税庁は、国税分野に限って、自分の番号に相違ない旨の申立書で番号を確認する例外を認めています。ただし例外の扱いで、通常の手段ではない、というのが国税庁の位置づけです。
出すのを拒んだら、どうなるか
番号を出したくない、と考える人はいます。厚生労働省・大分労働局・ハローワークの名で事業主向けに出されたリーフレット(平成30年5月以降の取扱いを案内したもの)に、この場合の取扱いが書かれています。範囲は雇用保険の届出に限られ、社会保険の届出への言及はありません。
雇用保険の届出に個人番号を記載することは、事業主の法令上の義務で、従業員に提供を求めてもらう、とあります。そのうえで、提供を拒否された場合は、その旨を申し出れば受理するとし、番号の記載がないことだけで、ハローワークが届出を受理しないことはない、としています。
これは、拒否しても雇用保険の届出は進む、という意味です。一方で、各社は提出を必須、または基本的に必要と案内しています。拒否したことで、応募先や派遣会社が採用や契約をどう扱うかは、確認した資料のどこにも書かれていませんでした。
迷うなら、出す前に、何に使うのか、保管はどうするのかを、担当者に聞くのが現実的です。
提供をめぐって会社と食い違い、不利な扱いを受けたと感じたときは、総合労働相談コーナーに相談できます。
厚生労働省のページによると、各都道府県労働局や労働基準監督署内などに設置され、利用は無料で予約は不要。専門の相談員が不在の日時もあるため、行く前に電話で確かめる、と案内されています。
年金番号は、通知書か年金手帳で確認する
日本年金機構によると、令和4年4月以降に初めて被保険者の資格取得手続きをした人には、年金手帳に代わって「基礎年金番号通知書」が発行されます。すでに年金手帳を持っている人には新たに発行されないため、年金手帳は引き続き保管する、とあります。
通知書は、原則として被保険者本人あての送付です。事業主が手続きで確認する基礎年金番号は、通知書のほか、年金手帳や国民年金保険料の納付書・領収書で確認できる、とされています。
基礎年金番号が分からなくても、マイナンバーで手続きできます。日本年金機構の事業主向けのお知らせは、厚生年金保険の資格取得などの手続きでは、番号が分からない場合に本人確認をしたうえで個人番号を記入する、としています。
気をつけたいのは、番号の取り違え。日本年金機構の案内では、年金手帳が事業主に示されず加入届に番号を書けず、すでに別の番号を持っている可能性がある場合に、仮の番号(「99」で始まる番号)で管理されることがあります。
別の番号がすでにあると、番号が複数になるおそれがあるためです。日本年金機構の案内は、回答票が届いたら、別の番号がない場合も返送する、というものです。
リゾバ.comは、勤務期間や社会保険の加入条件を満たすと、基礎年金番号通知書の登録が求められる、と案内しています。加入の条件は社会保険の記事にまとめた通りです。
口座・雇用保険被保険者証・源泉徴収票
マイナンバーと年金のほかに、出す書類と受け取る書類があります。口座は出すもの、被保険者証と源泉徴収票は辞めるときに受け取るものと分けて見ると整理できます。
給与の口座
労働基準法施行規則第7条の2は、使用者は労働者の同意を得た場合、労働者が指定する銀行などの預金への振込みで賃金を支払える、と定めています。口座を出す手続きは、この条文が根拠になりえます。
リゾバ.comのよくある質問は、給与の受け取りに日本国内の銀行口座またはゆうちょ銀行の口座が必要、としています。リゾートバイト.comのよくある質問は、派遣求人の給与が登録した口座に支払われる、と触れています。
雇用保険被保険者証
入職時に前の勤務先の被保険者証を求められるかは、開いた公的資料では分かりませんでした。分かったのは、辞めるときの話です。
リゾバ.comは、被保険者証と退職証明書の発行ができ、条件に当てはまる人にメールが届くと案内しています。アルファリゾートのよくある質問は、雇用保険に加入していれば離職票を発行できる、としています。辞めたあとの流れは失業保険の記事の担当です。
源泉徴収票
給与を払った側が本人に交付する書類です。所得税法第226条は、給与等の支払をする者が、各人別に源泉徴収票を作成し、本人に交付する、と定めています。
リゾバ.comは、マイページの「給与明細照会」から申請する案内です。アルファリゾートのよくある質問は、最後の給料日以降なら1週間前後で対応できる、としています。使い方は確定申告の記事に書きました。
扶養控除等申告書は、ここでは扱いません。源泉徴収の欄との関係は手取りの記事、扶養との関係は扶養の記事が詳しいです。
マイナンバーを出すと、副業が勤務先に知られるのか
別の仕事と掛け持ちをする人は、番号を出すと本業の勤務先に知られるのでは、と心配します。リゾバ.comのコラムは、マイナンバーを提出したこと自体が、本業の勤務先へ通知されることはないと案内しています。そのうえで、副業が知られる原因はほかにもあるため、就業規則を先に確認するよう勧めています。
税の経路で知られるかどうかは、確認した資料には書かれていませんでした。確かめられていないので、書きません。掛け持ちの考え方は副業・掛け持ちの記事へ。
出す前に確かめること
ここまでを、応募先に聞く形に直します。
| 聞くこと | 理由 |
|---|---|
| 提出する書類の一覧と、出す時期 | 会社ごとに、仕事探しの前か、決まったあとかが違う |
| マイナンバーの提出方法 | メールに添付か、写真のアップロードかは会社で違う |
| カードがない場合に使える書類 | 通知カードや番号入りの住民票の写しで足りるか |
| 画像の取り扱い | 保管の方法と、使う目的 |
| 年金手帳か通知書の有無 | 番号が分からない場合はマイナンバーで手続きできる |
| 口座の条件 | 国内の銀行口座か、ゆうちょ銀行か |
住民票の写しで番号を確認する会社では、番号入りで発行されるかを窓口で確かめます。寮に住むときの住民票の扱いは、別の記事で整理しています(住民票の記事)。当日の流れは初日の記事です。
この記事で参照した情報
- e-Gov法令検索:行政手続における特定の個人を識別するための番号の利用等に関する法律(第9条・第14条・第16条) ↗最終確認:2026/10/25
- e-Gov法令検索:雇用保険法(第7条) ↗最終確認:2026/10/25
- e-Gov法令検索:健康保険法(第48条) ↗最終確認:2026/10/25
- e-Gov法令検索:厚生年金保険法(第27条) ↗最終確認:2026/10/25
- e-Gov法令検索:所得税法(第226条) ↗最終確認:2026/10/25
- e-Gov法令検索:労働基準法施行規則(第7条の2) ↗最終確認:2026/10/25
- 厚生労働省・大分労働局:雇用保険手続の際には必ずマイナンバーの届出をお願いします(事業主向けリーフレット) ↗最終確認:2026/10/25
- 日本年金機構:基礎年金番号・基礎年金番号通知書・年金手帳について ↗最終確認:2026/10/25
- 日本年金機構:【事業主の皆さまへ】「基礎年金番号通知書」は被保険者あてに送付します ↗最終確認:2026/10/25
- 国税庁:本人確認に関するFAQ(マイナンバー) ↗最終確認:2026/10/25
- 厚生労働省:総合労働相談コーナーのご案内 ↗最終確認:2026/10/25
- リゾバ.com:リゾートバイトの必要書類は3つだけ! ↗最終確認:2026/10/25
- リゾバ.com:リゾートバイトのマイナンバーは必要!提出方法を解説 ↗最終確認:2026/10/25
- リゾバ.com リゾートバイトでよくある質問 ↗最終確認:2026/10/25
- リゾートバイト.com:リゾートバイトでマイナンバーは必要ですか?提出方法と注意 ↗最終確認:2026/10/25
- リゾートバイト.com よくある質問 ↗最終確認:2026/10/25
- アルファリゾート よくある質問 ↗最終確認:2026/10/25
- リゾートバイトダイブ 勤務前のよくある質問 ↗最終確認:2026/10/25
法令や各社の案内は改定されることがあります。労働条件は求人ごとに異なるため、実際の条件は応募先から示される書面と公式の案内でご確認ください。