副業そのものを禁じる法律は、確認した厚生労働省のガイドラインにはありません。決めるのは契約と就業規則です。雇われて働く掛け持ちは、労働基準法第38条で労働時間が通算されます。社会保険は事業所ごとに判断され、両方で入る要件を満たすと届出が要ります。リゾートバイト.comは「副業・Wワーク可」を検索条件に置いています。リゾバ.comは、掛け持ちを直接説明したページを確認できませんでした。
掛け持ちを考える前に、この記事が扱う範囲
リゾートバイトの前後や期間中に、別の仕事を入れられるか。結論を先に書くと、副業そのものを禁じる法律は、確認した範囲にはありません。可否を決めるのは、契約書と就業規則です。
ここに書くのは、法令と公的機関の資料で言える一般論です。個別の求人で掛け持ちができるかどうかは、応募先の条件で決まります。求人ごとに確かめてください。
確かめたのは、労働基準法第38条の条文、厚生労働省の「副業・兼業の促進に関するガイドライン」(令和4年7月改定版)、日本年金機構のページです。各社の案内は、開いた公式ページに書かれていた範囲に限ります。
先に答えだけ並べます。
- 副業を一律に禁じる規定は、ガイドラインには書かれていない。まず雇用主の契約と就業規則を確認する
- 雇われて働く掛け持ちは、原則として労働時間が合算される。休憩・休日・有給は合算されない
- 社会保険は事業所ごとに判断される。足し算では入れない
民間で雇われる副業は、一律には禁じられていない
厚生労働省のガイドラインは、副業・兼業に関する裁判例を、こう整理しています。労働者が労働時間以外の時間をどう使うかは、基本的には労働者の自由です。
そのうえで、会社が副業を禁止または制限できるのは、例として次の4つに当たる場合と解されています。
| 制限できるとされる場合 | 中身 |
|---|---|
| 労務提供上の支障がある | 本業の仕事に差し支える |
| 業務上の秘密が漏洩する | 秘密が外に出る |
| 競業により自社の利益が害される | 同業で競合する |
| 名誉や信用を損なう、信頼関係を破壊する | 会社の評判に傷がつく |
ガイドラインは、禁止や制限が認められるのはこうした場合と解されている、という整理です。
そのうえで実際には、掛け持ちが認められるかどうかは、勤め先の就業規則や契約にどう書かれているかを、まず確かめることになります。ガイドラインは、厚生労働省のモデル就業規則に「勤務時間外において、他の会社等の業務に従事することができる」とあることも示しています。ただし、これはモデルです。実際の就業規則がそう書かれているとは限りません。
労働者の側の対応として、ガイドラインは、まず自分が勤めている企業のルール(労働契約、就業規則など)を確認することを挙げています。
リゾートバイトで言えば、確認する相手は、雇用主です。派遣なら派遣会社、旅館やホテルに直接雇われているならその運営会社です(直接雇用と派遣の違い)。
各社の案内。掛け持ちの可否は求人ごとに違う
公式ページで確認できたことを、会社ごとに並べます。
| 会社 | 同社の案内 |
|---|---|
| リゾートバイト.com | 求人検索のこだわり条件に「副業・Wワーク可」がある。2026年10月24日に開くと、該当の求人は99件だった。ページに可否の説明文はなく、求人のタイトルに「Wワーク可」と書かれたものがある。よくある質問には、選考に入れるのは1施設まで、とある |
| リゾバ.com | 掛け持ちを直接説明した質問は見当たらなかった。社会保険の質問に、今の会社で社会保険に加入している人の扱いが書かれている(あとの節) |
| アルファリゾート | よくある質問の見出しに、副業・掛け持ちの項目は見当たらなかった |
| ダイブ | よくある質問で表示された見出しの範囲では、副業・掛け持ちの項目は見当たらなかった。全質問と回答本文は確認できていない |
読み取れるのは、副業・Wワーク可を条件として出している会社がある一方で、よくある質問では説明を確認できなかった会社もあるということです。
求人票に書かれている可能性は、ここでは確かめていません。「可」と書かれた求人でも、何を指すのかは、このページからは分かりません。勤務の時間帯、別の仕事の種類、届出の有無は、担当者に聞いてください。
条件に書かれていない求人は、掛け持ちが禁止とも、許されているとも言えません。応募前に確認が必要です。
「複数の施設に同時に選考は入れますか」というリゾートバイト.comの質問は、掛け持ちの可否とは別の話です。選考を同時に進められるか、という質問への答えです。
掛け持ちすると、労働時間は合算される
雇われて働く仕事を2つ以上するときに、いちばん大きな決まりがあります。労働基準法第38条第1項は、労働時間は、事業場を異にする場合でも、労働時間に関する規定の適用については通算すると定めています。
ガイドラインによると、「事業場を異にする場合」には、事業主が別々の場合も含まれます。会社が違っても、雇われて働く時間は足し算されます。
一方で、通算されない働き方もあります。ガイドラインは、労基法が適用されない例として、フリーランス、独立、起業、共同経営、アドバイザー、コンサルタント、顧問、理事、監事などを挙げています。これらは、雇われて働く時間ではないので、通算の対象外です。
労基法は適用されても労働時間の規制が適用されない場合(管理監督者、農業・水産業など)も、通算されないとされています。農業・畜産の事業が適用除外になる理由は、農業・牧場の記事にあります。
何が通算されて、何が通算されないかは、ガイドラインの整理が分かりやすいので、表にします。
| 規定 | 通算されるか |
|---|---|
| 法定労働時間(第32条) | 通算される |
| 時間外労働と休日労働の合計の上限(第36条第6項) | 通算される |
| 36協定で決めた延長時間の限度 | 事業場ごと。通算されない |
| 休憩(第34条) | 通算されない |
| 休日(第35条) | 通算されない |
| 年次有給休暇(第39条) | 通算されない |
法定労働時間は、1日8時間・1週40時間が原則です(第32条)。たとえば、午前に別の仕事で働いた日は、その時間も足して、8時間を超えるかどうかが見られます。
通算するときの順番も、ガイドラインにあります。先に労働契約を結んだ仕事から順に所定労働時間を通算し、次に、所定外の労働が行われた順に通算します。
休憩や休日が通算されない、というのは意外かもしれません。複数の仕事を入れて、まとまった休みがとれなくなっても、休日の規定は仕事ごとに見られる、ということです。
休憩・休日・有給が合算されないぶん、体を休める時間は自分で管理する必要があります。ガイドラインも、労働者に、仕事の量や時間、健康状態を自分で管理することを求めています。
超えた分の割増賃金は、あとから契約した側が払う
通算すると、1日8時間・1週40時間を超える部分が出ることがあります。
ガイドラインによると、副業を始める前の段階で、所定労働時間を通算して、法定労働時間を超える部分があるときは、時間的に後から労働契約を結んだ使用者のその部分が時間外労働になります。副業を始めたあとの所定外の労働は、行われた順に通算します。
時間外労働の割増賃金(第37条第1項)を払う義務も、通算して超える部分のうち、自分のところで働かせた時間にかかります。
たとえば、午前に5時間、夕方に5時間働くと、合計は10時間です。契約の時点で、所定労働時間だけで8時間を超える組み合わせなら、あとから契約した側の超える2時間が時間外労働になります。
一方、開始後に生じた所定外の残業は、契約の先後ではなく、行われた順に積み上がります。つまり、本業が先にあって、あとからリゾートバイトを入れたなら、リゾートバイト側が時間外の扱いになる場合があります。どちらの側になるかは、時間の組み方で変わります。
ここで、リゾートバイトの特有の点を2つ書きます。
- 派遣のとき、通算管理するのは誰か。 ガイドラインは「使用者」と書いていますが、派遣については書かれていませんでした。派遣元と派遣先のどちらが通算管理をするのかは、確認できていません(雇用主の分担は直接雇用と派遣の違いにあります)。派遣会社に、他の仕事の労働時間をどう伝えればよいかを聞いてください
- 申告で把握される。 ガイドラインによると、使用者は他の会社での労働時間を、労働者からの申告等で把握します。届出が要るかどうかは、就業規則と契約で確かめます
黙って掛け持ちをすると、自分の側の割増賃金や上限の管理も、会社が把握できなくなります。
厚生労働省のガイドラインには、会社が管理を簡単にできるように、各社の労働時間にあらかじめ上限を決めておく方法(管理モデル)も載っています。掛け持ちの条件として各社の上限を決める話が出たら、この方法に当たるかを担当者に聞いてみてください。
社会保険は足し算では入れない。両方で入る要件を満たすと届出が要る
社会保険(厚生年金保険と健康保険)は、労働時間と違って、足し算をしません。
ガイドラインによると、適用の要件は事業所ごとに判断されます。どの事業所でも要件を満たさない人が、労働時間などを合計して要件を満たしても、社会保険は適用されません。
反対に、同時に2か所以上の事業所で、それぞれ被保険者の要件を満たすなら、2つの事業所で加入することになります。このときの手続きを、日本年金機構が案内しています。
- 同時に複数の適用事業所に勤務することになったとき、被保険者本人が届出をする(二以上事業所勤務届)
- 主たる事業所を1つ選ぶ。選んだ事業所を管轄する年金事務所などが、以後の事務を行う
- 標準報酬月額は、各事業所の報酬月額を合計して決める。保険料は、その額に基づいて、報酬月額の割合に応じて分ける
届出の期限は、機構のページに日数で書かれています。期限と提出先は、機構の案内ページで確かめてください。改正で動きうるため、日数はここに書きません。
ただし、これは両方で加入の要件を満たす場合の話です。どんな働き方が要件に入るかは、社会保険の記事と日本年金機構の案内で確認してください。要件は改正で動きます。
リゾバ.comの案内には、近い話があります。
同社のよくある質問には、今の会社で社会保険に加入している場合の扱いが書かれています。
雇用保険は一か所でしか加入できないため、同社では非加入で相談するとあります。社会保険は、現在加入している社会保険を脱退したあとに、同社で切り替えるとあります。希望する場合は、登録時に一度相談してください、という案内です。
この質問は、掛け持ちで両方に加入する方法を説明したものではなく、「今の会社を辞めて来る人」の扱いに近い書き方です。両方で入りたい場合は、別途、担当者に聞く必要があります。
雇用保険は、一か所でしか入れない
雇用保険も、ガイドライン(令和4年7月改定版)に書かれた内容は社会保険と違います。
同時に複数の事業主に雇われている人が、それぞれの雇用関係で被保険者の要件を満たす場合、生計を維持するのに必要な主たる賃金を受ける雇用関係についてのみ、被保険者になるとされています。
リゾバ.comの「雇用保険は一ヶ所でしか加入できない」という案内は、この整理と合っています。
雇用保険の制度は、近年の改正で変わってきています。現在の運用は、ハローワークで確認してください。
失業したときの給付の話は、失業保険の記事にあります。
労災と健康診断。ケガと体調の備え
仕事を掛け持ちしていても、労災保険は、労働者を1人でも雇っている事業主が加入手続きをします。ガイドラインによると、副業しているかどうかは関係がありません。
ガイドラインには、次の記述もあります。
- 複数の仕事をしている人の労災給付は、令和2年の法改正で、災害が起きていない側の賃金も合算して算定する
- 仕事の負荷も、複数の就業先を合わせて評価する
- 自社と副業先の両方で雇われているとき、一方の就業先から他方への移動中の災害は、通勤災害として給付の対象になる
リゾートバイトで起きたケガの流れは、労災の記事にあります。
健康診断は、副業をしているかに関係なく、使用者が法令に基づいて実施します。
ただし、対象は常時使用する労働者です。短期の契約で対象になるかは、その条件で決まります。副業先の労働時間を通算して、対象者を選ぶことは、ガイドラインではされていません。健康診断の範囲は、健康診断の記事にあります。
収入が増えたら、確定申告の要否を確かめる
掛け持ちで収入が増えたとき、ガイドラインは、副収入が一定額を超えると、年末調整ではなく個人の確定申告が必要になると書いています。金額の線は、毎年の制度で動きます。その年の線は、税務署か国税庁の案内で確かめてください。
リゾートバイトの年末調整と確定申告の考え方は、確定申告の記事にあります。
掛け持ちの前に確かめる順番
最後に、順番を整理します。
| 順番 | 確かめること | 相手 |
|---|---|---|
| 1 | 副業・掛け持ちが認められているか。届出や許可が要るか | 雇用主の契約書と就業規則、担当者 |
| 2 | 勤務の時間帯。別の仕事と重ならないか | 求人票とシフト |
| 3 | 労働時間を会社に申告する方法 | 雇用主の担当者 |
| 4 | 両方で社会保険の要件を満たすか。満たすなら届出 | 担当者と年金事務所 |
| 5 | 収入が増えたときの税金の手続き | 税務署 |
リゾートバイトの寮に入るなら、住み込みの勤務時間そのものも確かめます。中抜けの空き時間に別の仕事ができるかどうかは、確かめられませんでした。雇用主に聞いてください。中抜けの仕組みは中抜けシフトの記事にあります。
迷ったら、「副業・Wワーク可」の条件で求人を探し、可の範囲を担当者に聞くのが、無難な進め方です。聞くことは3つです。届出が要るか、シフトの上限、他の仕事の労働時間の申告方法です。
労働条件のことで困ったときは、都道府県労働局や労働基準監督署内にある総合労働相談コーナーが相談先になります。所在地は、厚生労働省の案内ページに載っています。
この記事で参照した情報
- e-Gov法令検索:労働基準法(第32条・第34条・第35条・第36条・第37条・第38条) ↗最終確認:2026/10/24
- 厚生労働省:副業・兼業の促進に関するガイドライン(平成30年1月策定、令和4年7月改定) ↗最終確認:2026/10/24
- 厚生労働省:副業・兼業(ガイドライン、Q&A、パンフレットの掲載ページ) ↗最終確認:2026/10/24
- 日本年金機構:複数の事業所に雇用されるようになったときの手続き ↗最終確認:2026/10/24
- 厚生労働省:総合労働相談コーナーのご案内 ↗最終確認:2026/10/24
- リゾートバイト.com:副業・Wワーク可で探す住み込みリゾートバイト求人一覧 ↗最終確認:2026/10/24
- リゾートバイト.com よくある質問 ↗最終確認:2026/10/24
- リゾバ.com リゾートバイトでよくある質問 ↗最終確認:2026/10/24
- アルファリゾート よくある質問 ↗最終確認:2026/10/24
- リゾートバイトダイブ よくある質問 ↗最終確認:2026/10/24
法令や各社の案内は改定されることがあります。労働条件は求人ごとに異なるため、実際の条件は応募先から示される書面と公式の案内でご確認ください。